1: 田杉山脈 ★ 2021/07/10(土) 14:58:57.45 ID:CAP_USER
「昨日、あの人が鍵を持って『お世話になりました』って来たのよ。それで『このゴミ部屋を片付ける費用を誰が払うの?』って言ってやったのよ」
大家が涙目になりながら、私にそう話してくれた。生前遺品整理会社「あんしんネット」の作業員として片付けた中、唯一、ゴミ部屋を管理する大家に直接話を聞けたケースである。
ここは駅から徒歩5分、高級住宅街にある3階建ての鉄筋コンクリートマンションだ。
1フロアに2室あり、問題の部屋は1階の1DKで、69歳の女性が一人で暮らしていたという。40年前にこのマンションが建ち、35年ほど前からその女性は住んでいたというから、居住者は30代からずっとここに一人で暮らしていたということになる。
大家は80代女性で、そのマンションの隣に戸建てを構えていた。
「最初はお勤めしていたし、月額8万円の家賃も、毎月きっちりお支払いしてくれていたのよ。それが令和になった頃から、全く支払わなくなって……。私は自分で家賃を払ってほしいという趣旨のお手紙を書いて、玄関ドアにはさんでおいたの。そうするとしばらくして、ポストに5万とか3万とか入っていることもあったわ。でもこの頃はまるっきり入らなくなって。どうも勤めていた会社が倒産してしまったらしいのよ。歳だから雇ってくれるところもないんでしょう。それで私もだんだん期待しなくなって、もう(家賃督促の)手紙を入れるのさえやめてしまったの」
初めて女性の部屋の中を見て、仰天した
ところが今年1月2日の夜、正月早々に、その女性が1階の共有廊下、自分の部屋の玄関近くに座り込んでいたという。
「たまたま見かけたので『どうしたの?』って声をかけたら、『大丈夫ですから』と言うので、私もまた自宅に戻ったの」
しかしそれから4日後、今度は朝の6時半頃に外から「うー、うー」といううなり声が聞こえた。
「外を見たら、またあの人が今度は横になっているじゃない。これは大変だと思って救急車を呼んだの。救急隊はその人を連れていって、警察や役所の人がたくさん来て、でも私に聞くだけ聞いたら、どの病院に運んだのかさえ教えてくれない。『たとえ大家さんでも個人情報ですから』って言うのよ」
大家はそこで初めて、女性の部屋の中を見た。天井に迫るほどの勢いでぱんぱんにゴミが詰まっており、仰天したという。ベランダ側から見ればやはり窓がゴミで埋まっているのだが、ゴミ部屋を見たことがない人は、中の状態にまで思いが至らないことが多い。
1週間ほどして女性が病院から退院すると、大家は弁護士に間に入ってもらい、女性に退去願いを出した。しかし両親はすでに亡くなっており、彼女に行くところはない。
あらゆる手を尽くして探すと、女性に娘がいることがわかり、引き取ってもらうことになった。
今年3月、鍵を返しに来た女性に「このゴミ部屋を片付ける費用を誰が払うの?」と大家が詰め寄ると、「いずれ、少しずつ」とか細い声で答えたという。そうはいっても、2年間家賃を払っていない人が、この作業代を支払えるわけがない。あんしんネットの石見さんが事前に見積もると、1回の作業で2トンロングトラック分のゴミを搬出したとして、作業は4、5日かかり、1日あたり30万円程度の費用が発生するという。
「何とか200万円以内に収めたいという感じです。大家さんにしてみればこのあとのリフォーム代も負担しなければいけないので、私も久々に気が重い現場です」
珍しく、いや初めて石見さんが「気が重い」という言葉を口にした。何の罪もない、80代後半の人の良い大家が大金を支払わなければならないことが、つらいのだろう。
以下ソース
https://president.jp/articles/-/47663
大家が涙目になりながら、私にそう話してくれた。生前遺品整理会社「あんしんネット」の作業員として片付けた中、唯一、ゴミ部屋を管理する大家に直接話を聞けたケースである。
ここは駅から徒歩5分、高級住宅街にある3階建ての鉄筋コンクリートマンションだ。
1フロアに2室あり、問題の部屋は1階の1DKで、69歳の女性が一人で暮らしていたという。40年前にこのマンションが建ち、35年ほど前からその女性は住んでいたというから、居住者は30代からずっとここに一人で暮らしていたということになる。
大家は80代女性で、そのマンションの隣に戸建てを構えていた。
「最初はお勤めしていたし、月額8万円の家賃も、毎月きっちりお支払いしてくれていたのよ。それが令和になった頃から、全く支払わなくなって……。私は自分で家賃を払ってほしいという趣旨のお手紙を書いて、玄関ドアにはさんでおいたの。そうするとしばらくして、ポストに5万とか3万とか入っていることもあったわ。でもこの頃はまるっきり入らなくなって。どうも勤めていた会社が倒産してしまったらしいのよ。歳だから雇ってくれるところもないんでしょう。それで私もだんだん期待しなくなって、もう(家賃督促の)手紙を入れるのさえやめてしまったの」
初めて女性の部屋の中を見て、仰天した
ところが今年1月2日の夜、正月早々に、その女性が1階の共有廊下、自分の部屋の玄関近くに座り込んでいたという。
「たまたま見かけたので『どうしたの?』って声をかけたら、『大丈夫ですから』と言うので、私もまた自宅に戻ったの」
しかしそれから4日後、今度は朝の6時半頃に外から「うー、うー」といううなり声が聞こえた。
「外を見たら、またあの人が今度は横になっているじゃない。これは大変だと思って救急車を呼んだの。救急隊はその人を連れていって、警察や役所の人がたくさん来て、でも私に聞くだけ聞いたら、どの病院に運んだのかさえ教えてくれない。『たとえ大家さんでも個人情報ですから』って言うのよ」
大家はそこで初めて、女性の部屋の中を見た。天井に迫るほどの勢いでぱんぱんにゴミが詰まっており、仰天したという。ベランダ側から見ればやはり窓がゴミで埋まっているのだが、ゴミ部屋を見たことがない人は、中の状態にまで思いが至らないことが多い。
1週間ほどして女性が病院から退院すると、大家は弁護士に間に入ってもらい、女性に退去願いを出した。しかし両親はすでに亡くなっており、彼女に行くところはない。
あらゆる手を尽くして探すと、女性に娘がいることがわかり、引き取ってもらうことになった。
今年3月、鍵を返しに来た女性に「このゴミ部屋を片付ける費用を誰が払うの?」と大家が詰め寄ると、「いずれ、少しずつ」とか細い声で答えたという。そうはいっても、2年間家賃を払っていない人が、この作業代を支払えるわけがない。あんしんネットの石見さんが事前に見積もると、1回の作業で2トンロングトラック分のゴミを搬出したとして、作業は4、5日かかり、1日あたり30万円程度の費用が発生するという。
「何とか200万円以内に収めたいという感じです。大家さんにしてみればこのあとのリフォーム代も負担しなければいけないので、私も久々に気が重い現場です」
珍しく、いや初めて石見さんが「気が重い」という言葉を口にした。何の罪もない、80代後半の人の良い大家が大金を支払わなければならないことが、つらいのだろう。
以下ソース
https://president.jp/articles/-/47663
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